気になる人に振り向いてもらいたい・・・
冒険者諸兄の皆さんならそんな時どうするかしら。
愛の精霊祭が近ければチョコをプレゼントするのもいいかもしれないわね。それに、おしゃれして着飾って気を引いてみるのもいいかも。
もし同じようにその人に気に入られたいライバルがいたら厄介よね。あの子の方が気に入られていると思ったら、ライバルに嫉妬することもあるかもしれないわ。
でもそういった独占欲はかえって意中の人の心をも引き離してしまうのよ。皮肉なことだけれどね。
実は古の神話の時代にも、それはそれはおおきな愛憎合戦があったの。
今日はそういうお話。
さて、それでは今日も一緒に神話を紐解いていきましょう。
神話4
「あるとき、闇の元素から生まれた闇天使と光の元素から生まれた光天使ら「神使」の間で口論が起きた。
『絶対神アズが起きていらっしゃる昼の光の間にいる我々の方が美しい』と光天使は言い、
『絶対神アズが寝ていらっしゃる安息の夜の闇の中にいる我々の方が美しい』と闇天使は言った。そうしてどちらが美しく、どちらが神々に愛されているかを主張し合う両者は、たやすく争うようになってしまった。
光と闇は同時に存在できないので、
光天使にはエルフ、ポークル、ノーム、ヒューマン、ドワーフ、ラウルフ、フェルパー、ムーク、ティターンといった「人」が代わりに争い、
闇天使には妖魔と呼ばれるモンスターたちが味方に付き、代わりに争った。
こうして光の眷属と闇の眷属が生まれ、この戦いは「天戦」と呼ばれ、長く続いた。
この戦いをご覧になって、創造神アヴルールは深く悲しみ、世界をお見捨てになられた。」
なんてことでしょう!
せっかくアヴルール様が世界を美しく作って、たくさんの生き物を作ってくださったのに、今度はこの世で初めての戦争が起こってしまったのよ。
しかも戦争のあいては光天使と闇天使達。いままで最も神に近く、最も神に愛された「神使」という立場であったのに、どちらが神様に好かれているかでもめてしまったのね。
光天使も闇天使もわたし達の目には見えない次元の生き物だといわれているけれど、そのお姿は天使の名の通りとても美しかったともいうわ。
それなのに、いつしか自分が一番美しい、自分が一番愛されていると思って相手に嫉妬してしまったのかしら?
創造神アヴルール様がそんな嫉妬深い、そんな不完全な生き物をおそばに侍らせてお使いにしていたということなのかしら。(おお、されどもアヴルールの御業は欠けたるところなきものなり)
もしかしたら、誰かにそそのかされたのかもしれないわね。ともかく、神様方が光天使と闇天使どちらかだけをひいきして愛するわけはないのだけれど、彼らは神の愛の独占欲と猜疑心に駆られて相争うようになるわ。
問題が天使だけで済めばよかったのでしょうけれど、それぞれの天使たちは他の生き物を二分して争わせるようになるの。困った話よね。
こうして世の中の生き物が光と闇の陣営に分かれてしまった。この戦いが「天戦」よ。
アヴルールはすべての生き物の生みの親。自分の愛する子供たちが勝手な理由で戦いあうのをお喜びになるはずがなかったでしょう。
それで創造神様はついにはあれほど愛されていた世界をついにお見捨てになられてしまうのよ(おお、神の中の神、最も偉大なるアヴルールの慈悲を世界が再び賜らんことを)。
それでも争う両者の矛先は収まらないわ。「お前らのせいだ」「いいやお前らが悪い」なんて言って戦うのをやめなかったでしょうね。
冒険者諸兄はもし、大喧嘩になったらどうやって納めたりするかしら?
誰かに仲裁してもらう、というのは一つの手かもしれないわね。
さて、今日はここまで。神話の中で語られる初めての悲しいお話だったわね。なんだかわたしも心が沈むわ。
それでは、アヴルールの御名を讃えて、あなたとわたしに平和と安らぎが訪れますように。
Original Posted Date: Oct. 10th, 2014
Author: Unsinkable Sammy